アリの巣をめぐる冒険

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「アリの巣をめぐる冒険」丸山宗利 東海大学出版会 2000円
という本を最近読んだ。

正直、素晴らしく面白い本だった。

最近読んだ昆虫の本では「昆虫標本商万国数奇譚 川村俊一」「ゲッチョ先生のイモムシ探検記 盛口満」「わっ!ヘンな虫 西田賢司」は、面白おかしく、わくわくする楽しい本でしたが、「アリの巣をめぐる冒険」は、面白い上に、いろいろ考えさせる、中身の濃い本でした。

このところ、仕事の関係もあって昆虫本を手当たり次第読んでいます。

丸山さんは先日ブログで書いた「昆虫大学」で講演をされた方で、以前、丸山さんの「ツノゼミ」という本の出版で多少のかかわりをもち知り合いました。

とにかく謙虚ですごいことをたんたんとやっている若い研究者です。

この本は、彼の研究の一部始終を知ることが出来、それが画期的にすごいことだということが読んでいて分かります。

私も一応生物学専攻ですが、若気の至りで(もう50年近く前のこと)、分類学を時代遅れの学問、これからはDNAの研究こそ未来を開く生物学!!!などと舞い上がって、DNAをやりましたが、いろいろ事情があり、研究者としての道には進みませんでした。

一転、学研という出版社に入社し、昆虫図鑑を担当させられ、まったく知らない世界に首を突っ込んだのです。4年間DNAを勉強してきたけれど、昆虫なんて全く知らない、まるで私にとっては異世界でした。

当時の編集長は北大の生物出身で、博物学にやたら詳しく、DNAしか知らない私は、はなから馬鹿にされました。しかし、辛抱強く私を編集者として鍛えてくれました。いまあるのはこの編集長のおかげです。

しかし、昆虫のたくさんの先生方と知り合ううちに、昆虫の世界の面白さにのめり込んでゆきました。
こんな面白い世界があったのか・・・という感じです。

しかし専門的に昆虫学を勉強したわけでなく、耳学問的にいろいろな先生方の話をきいて、面白い世界を子どもたちに伝えるのが仕事だったわけです。

この本の面白さは、昆虫の新種発見の大変さ、面白さ、発見したときの興奮など昆虫学者の苦労が手に取るように分かり、昆虫学の表面しかなでていない私にとって、まったく知らない深い昆虫の世界がこの本に広がっていました。

もちろん今までお付き合いのあった昆虫学者も同様な苦労をされていたと思いますが、その苦労は正直当時はまったく分からなかったです。

甲虫の権威の中根猛彦先生にも毎週のように自宅に伺い、いろいろな昆虫の話を聞きました。それはもう面白く、話を伺いながら生意気にも大先生に反論したりもしました。

しかし、大人物の先生は怒ることもなく、やさしく説明して諭してくれたりしました。今思うと恥ずかしいばかりです。
のちのちある人から聞いたのですが、中根先生は日高敏隆先生の家庭教師をしていたとか・・・

チョウの権威の白水隆先生にもチョウの図鑑でずいぶん教えをいただきました。そのほか、いまその道の権威になられているたくさんの先生方(当時若かくて助手だった)とも知りあえ、いろいろ教えていただきました。

しかし、私のは耳学問で、底の浅い昆虫知識です。

丸山さんの本を読むと、昆虫学の大変さ、新種を同定するまでの苦労などふかく考えさせられます。
分類学を馬鹿にしていた私は恥ずかしいばかりです。

具体的にはこの本を読んでいただくと分かりますが、とにかく昆虫の研究を志している若い人には絶対読んで欲しい本ですね。

わたしもいま20代で、昆虫に興味があって、この本を読んだら、即昆虫学者を目指すでしょうね。
丸山さんに続く若い人たちが育っているのもこの本から分かります。

久しぶりにほんとうにためになるいい本を読みました。丸山さん、ありがとう!









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