人間の脳に潜むサル(2)

ピグミーチンパンジーはボノボという愛称で呼ばれています。
以後ボノボにしますが、ボノボの研究は、1950年頃から日本人によって始められています。

日本チームも、かなり早くから、チンパンジーの研究もとりかかっていたのですが、ジェーン・グドールというイギリス人の若い女性に先を越されてしまいます。

チンパンジーの研究に限らず、サル類の研究は、まず餌付け、人付けの成功によって、研究者がサルに怖がられなくなって、初めて始まります。近い距離から観察し、個体識別をして、個体同士の関係、順位など色々なことが調べられるわけです。

グドールが最初に餌付け、人付けに成功したのは、チンパンジーの父系社会の、ある群れのオスのリーダーに、気に入られたからですが、それは、彼女が「メス」だったからではないかと思っています。

チンパンジーは、基本的には、自分の群れ以外のオスに対しては敵対的に対応します。

日本人研究者は、すべて男性でした。やはり、チンパンジーにとって、人間の「オス」に対しては、すぐには、警戒心を解かなかったのではないかと思います。

それにしても、グドールはすごいですね。まだ若い独身の女性のときに、単身アフリカの奥地に移住して、チンパンジーの研究にのめり込んだんですからね。いわゆる理系の女ですが、たいした度胸です。母親が心配で何度も現地にいって、いろいろ援助はしていましたが・・・

母親は看護関係の医学知識に基づいて、現地の人に施術し、病気を治したりして、現地人の人に認められ、彼女が現地に溶け込む大きな援助になったのですが、それにしても、グドールはやはりすごいです。

彼女は、世界で初めて、人間以外の動物が道具をつくって、それを使用するということを、チンパンジーで観察し発表しました。そのほか、狩りの様子なども発表し、当時の世界を驚かせます。

グドールにチンパンジー研究の先を越された後、京大チームは、あきらめずに餌付け、人付けを続け、それに成功し、グドールの発見以外の、さらに新しい事実を発見します。子殺し、オスの戦争、権力争いの陰謀、群れによる道具使用の違いなど、やはり世界を驚かす発見でした。

また、当時から、日本人研究者が、チンパンジーと同時に、ボノボへの研究に力を入れ始めたのは、成功でした。 
というのは、ボノボは、チンパンジーよりも知能が高く、性行動にも人間と似たところが見られ、社会のしくみ、オスとメスの関係など、色々な意味で人間の起源の謎を解く、多くの鍵が詰まった類人猿であったためです。

チンパンジーのメスは、発情してくると、性皮と呼ばれる、膣周辺の皮が驚くほど、まるで風船のように膨らんできます。オスを受け入れる状態が整ったことを知らせる、強烈すぎるアピールです。

チンパンジーのメスは、月経周期が37日、発情期間が10日ほどあります。1ヶ月と1週間のあいだに1度発情するわけです。しかし、発情期がすぎると、性皮は空気の抜けた風船のように、しぼんでしまいます。

そして、妊娠し、子どもが出来、成長中の乳飲み子がいると、発情は抑えられ、その間は、性皮はまったく膨らみません。

私が、まだ会社に入社した直後の新人で、動物のことをよく知らない頃、動物園で性皮のふくらんだチンパンジーを初めて見ました。それは、ちょうど、執筆依頼の打合せのために、動物園に伺ったときです。

そのチンパンジーを見た後、動物園の打合せの相手の獣医の先生に、
「大変だ!先生!チンパンジーが脱腸を起こしているみたいですよ!」と大騒ぎで伝えました。
「なに?あなた、知らないの?あれはメスが発情している兆候ですよ」と、今は女性園長として有名になられた先生に冷静に応じられました。

見た人はご存知かと思いますが、本当に驚くくらい、性皮が巨大にふくらむのです。
それは、オスへの性的なアピールになり、その膨らんだ性皮は、それを見たオスをムラムラとその気にさせる信号なのです。

四つん這いで歩くチンパンジーにとっては、メスのそれは、歩いているときに否応なく目に入ります。遠く離れていても目立ちます。オスはそれを見て、発情し、性皮の膨らんだメス追いかけ回すわけです。
しかし、発情したメスがいないときは、とくに劣情は催さないで、まるで冷徹な哲学者のごとく、毎日を過ごしています。

この性皮が、人間の場合は、2足歩行で、立ち上がってしまったので、またの間に収まってしまい、よく見えなくなったために退化してしまいます。
そして、その代わりに、乳房がそれの代用をしているといわれています。

つまり、お尻の方にあったオスをムラムラさせる信号が、人間の場合、立った位置で目に入りやすい女性の胸に移動したわけです。
確かに、ふくよかな胸の人をみると、もう一つのお尻が胸にあるのではないか思えるほど、形が似ています。

巨大なものをもつ叶姉妹は、わざと胸をはだけた衣装をきて、それをアピールします。
それは、叶姉妹には申し訳ないですが、まるで、ふくらんだ性皮をみせびらかすチンパンジーのメスの行動にそっくりです。

人間の場合、大きくなった乳房は、縮むことがありませんので、常時発情している信号をオスに発していることになります。つまり、人間は、だらしなく、淫乱な信号をアピールしっぱなしというわけなのです。

マスコミが叶姉妹を取り巻き、追いかけ回す様子を見ていると、性皮の信号で、発情してしまったオスがそのメスを追い回す姿にダブります。

このように、巨大な乳房が、人間のオスを刺激するというのは、やはり、チンパンジー時代のなごりと言えます。 
話を急に戻しまして、ボノボですが、その生態は、研究者達を唖然、呆然とさせる驚くべき事実が次々発見されたのです。チンパンジーの研究で貯えられた知識、観察事実はまったく通用しないことがわかったのです。

続く(ちょっと引っ張っている? いや、ちゃんと結論に結ぶように話を順序よく進めていますよ)

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