ニホンミツバチの飼育

農園の仲間Tさんが今年の6月始めに、ニホンミツバチの飼育を始めた。

最初は、巣の設置場所を仮として、トイレの裏に置き、その後自分の区画に移動した。
これが、ハチに混乱を起こさしたみたいで、巣箱を移動した後もトイレ周辺に戻るハチがおおく、蜂球ができるほどだった。

Tさんはてっきり、移動した巣の場所をいやがり、新しい巣を探し始め、巣を放棄しようとしているのかと思い、かなり悲観的になった。

実際、ニホンミツバチは、巣そのもや巣の設置場所などが気に入らないと、よく巣を放棄して、別の場所に移ってしまうのだ。彼らはまだ野生のミツバチそのもので、なにも人間が用意してくれた巣などは気に入らなければ自分たちの気に入る場所に勝手に移動してしまうことがよくあるのだ。

人間の世話など受けなくても自由に生きていきたいという野生の本能がそのまま残っているのである。

幸いに、ほかに新しい気に入った巣になる場所が見つからなかった?みたいで、
いつの間にかTさんの農地に置いた巣に全員が戻ってくれた。

それから、2ヶ月以上たち、いよいよハチミツを収穫をすることになった。

こんなチャンスは滅多に無いので、いま家のことで忙しい中、撮影させてもらうべく、8月15日に農場に行った。

そして、ニホンミツバチの採蜜の状況の一部始終を撮影することが出来た。ちょっと長くなりますが見てください。本邦初公開?

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巣の状態のチェック。各階(巣箱をいくつか重ねている)のようすをチェックする小窓がそれぞれの巣箱に取り付けてある。蜜は最上階(一番上の箱)にためている。

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まず、巣箱の全体の重量測定。

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どのくらい蜜を貯めているかなどの判断に必要なデータで、こまめな人は2日おきくらいに計っている人もいる。ふつうは、手ばかりで計るのだろうけど、体重測定ばかりのようで、持ち上げた巣の下に秤を置いて計った。12kgほどあったそうだ。

しかし、初めての経験なので、けっこう面倒みたいだ。巣全体を持ち上げて、はかりに載せる作業中いろいろトラブルもあった。丈夫なはずの金属の線が切れたり、巣が真っ直ぐ上がらなかったり、ジャッキが壊れたり・・・

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採蜜は、まず最初に、新しい巣箱を一番下に入れる。ハチの群れは下の階に集まっている。新しい巣箱といっても一升枡の底の無いような木の枠だけ。

覗き窓から見ると、ハチが集まっている巣箱には、凄い数がいて、折り重なっている状態である。普通は蝋の巣盤が少し見えるくらいなのだそうだが、まったく見えなかったそうだ。私は写真を撮り損なった。

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新しい巣箱を下に入れる作業のつづき

木枠だけの箱は、新しい巣(彼らの体から分泌される蝋でつくる)を作るための空間だ。実際、ミツバチは大木の洞など単なる空洞に、蜜蝋でできた巣盤をつくってゆく。西洋ミツバチの場合は、木枠に巣が作りやすいようにいろいろな細工がしてある。

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いよいよ、一番上の蜜貯蔵庫になっている巣箱の蓋を切り離す。ふたは蜜蝋でがっちり固めてあり、まるで接着剤でくっつけた状態になっているので、ナイフを入れて切り離す。

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けっこうしっかりとくっつけてある。ふたは、一番うえの巣箱につけてあるが、ハチたちは念入りに蜜蝋を塗ってすき間を埋め、完全に密着させてしまう。

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蜜貯蔵庫の蓋を開ける。このとき事前に、切り離した巣箱を受け止めるための大きなボール、バケツなどを用意しておく。

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蓋を開けた蜜貯蔵庫。

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別の角度から。

予想した以上に蜜がたっぷりたまっている。ニホンミツバチのすごいのは、花など、どこにも咲いていないようなときにも、どこからともなく蜜を集めてくることだ。土着の日本の国土を知り尽くし、永きにわたりその知恵を本能に蓄積?してきているとしか思えない。

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蜜のたまった箱をきりはなす。このときすぐに用意してあるボールやバケツなどを下に置く。蜜がしたたりおちてくるため、これを受ける。

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蜜貯蔵庫を切り離した直ぐ下の巣箱にも蜜がたまっている。ここには黒っぽい蜜も混じっている。今回採集した蜜箱の蜜は美しい薄い琥珀色である。

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2段目の箱にふたをする。今後これが一番上の巣箱になる。
蜜箱をボールの上におくと同時に、もう蜜がしたたり落ちてくる。

蜜貯蔵庫にはほとんどハチはいなかったが、わずか3~4匹がウロウロしていた。蜜庫の警備係かな?
(後で聞いた話では、この蜜箱にもハチがたくさんいたが、たたいたりして、下の巣へ追いはらったとのこと)
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採集した蜜箱をボールを当てて、なかの蜜の巣を切り取り、下のボールに落とす作業に移る。

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かなり蜜がたまっている。うふふふふ・・・という収穫の喜びが聞こえてきそうだ。

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かなりな蜜の量だ。初心者でこんなに採れることは珍しいとのこと。飼い主の人柄がよかったのだろうか?はたまたこの地の環境が良かったのだろうか?! たぶん、両方だろう。

ネットでみていても、「生き物を飼うコトが好きな人じゃないと、ニホンミツバチを飼う資格はない」とまではっきり言う人がいる。確かにそうかもしれない。
昆虫の中でも進化した、社会性生活を営み、言葉(八の字ダンスで蜜源の方向と距離を伝える)すらもっているミツバチは、人の性格まで見破るのだ! (ちょっといいすぎたか)

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ボールに切り取った蜜貯蔵の巣を集めたところ。
ちょっと毒味をさせてもらった。「うまい!!」これは、大げさではなくわが人生で、いままでなめてきたハチミツの中でも最高の味だ。

ニホンミツバチの蜜は百花蜜といわれ、滋養に優れ、味が濃く、味も栄養も満点と言われている。実際なめてみてほんとうにおいしい。100gで3000~5000円もする高級品なのである。100gというと手の平のる一番小さい瓶詰めに詰めたくらいである。

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びんにそのまま移してお持ち帰り。

私はハチ毒にアレルギーがあるみたいで、今度刺されるとアナフィラキシーを起こすのではないかと恐れている。そのためこのくそ暑いのに冬用のジーパンを履き、厚めの生地の長袖をきて、ゴム手袋をし、ゴム長を履いて、その入り口をひもで閉め、頭には白い蜂よけの網つきの帽子を被って、完全武装で臨んだである。白い網を通してファインダーを覗くと見にくいこと、このうえもなく、汗が噴き出してくるので、撮影は難儀だったが、その苦労を忘れさせてくれるくらい面白かった。

じっさいは、ニホンミツバチはおとなしく、まるっきり攻撃してこなかった。写真を見ても分かるとおり、Tさんご夫婦はまるで無防備で、ほとんどむき出しの肌で作業をしていたが、ひとつも刺されなかった。

もしかして、飼い主として認定され、攻撃を受けなかったのかもしれない?

私も、その様子を見ていておそるおそる網の帽子を脱いでみたが、刺されることはなかった。

蜂の巣の上にいるハチたちなど撮りたかったが、今日はそこまで見せてくれなかった。でもそうすると大変だと思う。いつかチャンスがあれば撮ってみたい。

いま、ミツバチ(セイヨウミツバチ)が巣を放棄してしまったり、群れが突然、死に絶えてしまったりと、いろいろ問題が起こっているが、ここのミツバチは、周辺が無農薬栽培している素人の農業愛好家ばかりなので、居心地が良いのではないだろうか。

我々もこのハチたちのお陰でたくさんの作物の実がなり、恩恵を受けている。

この世から、花粉媒介するハチたちがいなくなったら、大半の実もの作物はできなくなるだろう。人間と蜂は共生関係にあるのである。

しかし、Tさんは次々、あらたな挑戦をしてゆく人で、その挑戦魂は素晴らしいです。

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この記事へのコメント

かめむし
2015年08月22日 09:31
生き物を愛するという基本は
ハチの飼育などに限らずとても大切な事だと思います。
ネットみたいなものもつけないで作業されているのが不思議だったのですが、気持ちが通じ合っているのでしょうか。素晴らしいですね。
玉虫
2015年08月22日 10:49
セイヨウミツバチに比べてニホンミツバチは温和しいのです。あまり攻撃してこないみたいです。やはり西洋は攻撃的です。住んでいる気候風土で人間だけでなく、ハチも性格が変わるみたいですね。面白いです。
かめむし
2015年08月22日 13:58
そうでしょうそうでしょう。
アメリカで歩いていただけでクマンバチの攻撃を受けたことがあります。きっと攻撃的なO型の蜂だったのだと思います。大型だったし。笑
中山のt
2015年08月23日 09:09
採蜜作業お手伝いいただきありがとうございました。
この一週間、お宝を奪われた蜂達のことが心配でしかたなかったのですが、昨日は久しぶりの晴れだったせいか、以前より活発に飛び回っていました。
おそらく、女王様が「みなの者、働け働け!!巣を作れ!蜜を集めて冬に備えるのじゃ!」とハッパかけてるかと。
働き蜂も仕事がたくさんあった方が、やりがい感じて元気になるようです。
森のきのこ
2015年08月23日 17:21
 ニホンミツバチは、自宅の裏山や町田で巣があったのですが最近見なくなりました。
 昔、昆虫写真家の新開さんが、小野路でオオスズメバチを蜂玉攻撃するのを撮っていたのに出会ったことがありましたが、オオスズメの攻撃が激しくなってくると逃げてしまうことがあると言っていたのを思い出しました。
 野外で巣箱かけしてもなかなか営巣まで難しいと聞きましたが。この巣箱には、自然に入ったのでしょうか?
アン
2015年08月24日 07:32
貴重な体験、とてもうらやましいです。知り合いの駐車場に、ニホンミツバチの巣箱を置かせてほしいと頼みに来た方がいるそうです。玉虫さんたちの農園と比べると良い環境とは言えないのですが。あちこちでニホンミツバチの巣箱を目にするようになりましたね、なんて言えるようになるといいのにな。
玉虫
2015年08月24日 08:43
中山のtさん>そうですね。一生懸命働いて貯えた貯金の大半を持って行かれたようなものですから。でも元気で働けるはちがたくさんいてしばらくは安泰ですね。採蜜の作業面白く拝見しました。
玉虫
2015年08月24日 08:46
森のきのこさん>ネットのオークションで購入したそうです。巣箱付きで、深夜受け取りに行って・・・けっこう買うのも簡単ではないですね。

玉虫
2015年08月24日 08:52
アンさん>来春は多分分封すると思います。分封のはちを収容する巣を作らなくてはと言っていました。私も飼いたくなったですが、ニホンミツバチは絶対に刺さないと言うことはないので、さはり止めておくかな。
中山のt
2015年08月24日 23:06
→森のきのこさん
八王子でも以前はどこの農家でも蜂を飼っていたそうですが、最近は分封で蜂の塊を見つけると大騒ぎでゴキブリジェットなどをふりかけて死滅させてしまうのが当たり前になっているそうです。
私はオークションで入手しましたが、巣箱製作実費程度でした。
売り主も、小遣い稼ぎというわけではなく、自分のところで巣立った蜂群を無事に育てて欲しいという方でした。
私も来年、分封したら誰に育ててもらうか考えねば!!

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